■ COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは
COPDは、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)と呼ばれ、慢性気管支炎(まんせいきかんしえん)・肺気腫(はいきしゅ)の総称です。これらの疾患は、長い時間をかけて、気道(空気の通り道)が閉塞(せまくなる・つまる)した状態になるのが共通した特徴です。日本には500万人以上のCOPD患者さんがいると推定されています。また、世界の死亡原因の第4位にランクされている病気です。
COPDは、タバコなどの有害な空気を吸い込むことによって、空気の通り道である気管支や、酸素の交換を行う肺の肺胞(はいほう)などに障害が生じる病気です。通常の呼吸ができなくなり、息切れが起こります。中高年になって症状が現れるため、始めは”年のせい”と考えがちですが、たばこを吸っている方で坂道や階段を休み休みでないと昇れなくなったと感じるようなら、この病気を疑う必要があります。
気道の炎症が進み、せまくなった気管支にタンがつまると呼吸をするのに大きな負担がかかるため、呼吸困難を自覚します。細いストローをくわえて呼吸をすると苦しくなるのと似ています。
長期間にわたる喫煙習慣が主な原因となりますが、他の原因として、大気汚染や職業的な塵埃や化学物質などがあります。
- 40才以上で、タバコを吸っているまたは吸っていた
- しつこく続く咳、痰
- 階段をのぼると息切れがする
このような方はCOPDの可能性があるので、肺機能検査をお勧めします。もちろん呼吸器内科の当院でもお受けになれます。
肺機能検査は、スパイロメーターという機械を用いて行います。
この検査は、できる限り息を吸い、それを思い切り強く吐き出した空気の最大量(努力肺活量)と、最初の1秒間に吐き出せる空気の量(1秒量)を測定し、「1秒量」を「努力肺活量」で割った「1秒率」を算出します。 この1秒率が70%未満の場合は、COPDの可能性があります。
検査は数秒で終わります。健康保険も適応になりますので、お気軽にご相談ください。
- COPDと他の病気を鑑別するために、肺機能検査以外にも、胸部X線検査、心電図検査などを行うこともあります。
- COPDの治療はさまざまな方法を組み合わせて行います。
- COPDを治療することにより、病気の進行を遅らせ、息切れなどの自覚症状を軽くし、運動能力を高めます。
治療は次のようにして行います。
- 禁煙:治療の基本です
- 薬物療法:息切れをやわらげ、運動能力を高めます
- 理学療法:息苦しさをやわらげます
- 運動療法:呼吸に関係する筋肉を鍛えます
- 栄養管理:体重減少を防ぎます
- 在宅酸素療法:COPDが進行し、低酸素血症になったときに導入します
■ タバコを吸ってはいけないのはこんな人
次のような病気の方は病気を悪化させるので、非常に危険です!!
★高血圧★
タバコを吸うと心拍数が増加し、末消血管が収縮するため血圧が上昇します。また、悪玉のLDLコレステロールを増やし、動脈硬化を促進させます。
★狭心症・心筋梗塞★
タバコを吸うと数秒以内に、心臓の血管が細くなるため、狭心症や心筋梗塞の発作の引き金となります。
★脳梗塞★
動脈硬化で狭くなった血管は詰まり易くなり、脳血栓や脳梗塞を引き起こします。
★喘息★
喫煙は慢性気管支炎や気管支喘息を誘発します。
★胃・十二指腸潰瘍★
ニコチンは胃・十二指腸粘膜の血管を収縮し、血流を低下させ、胃十二指腸潰瘍の原因となります。
★糖尿病★
タバコを吸うと嗅覚や味覚が鈍くなるため、食べ物の味が分かりづらくなります。そのため、気づかないうちに濃い味付けの料理を食べてしまうことになり、糖尿病を悪化させてしまう恐れがあります。
■ 肺に穴が開いていくって本当?
こんなことって本当にあるのでしょうか?
表現的には正確ではありませんが、肺気腫(はいきしゅ)という病気では肺の中にある肺胞(はいほう)という細胞の壁が崩れてしまいます。崩れた肺胞が大きく膨らんで肺の弾力性や収縮性が低下してしまいます。弾力性や収縮性が低下すると、息をはき出すときに肺が縮まりにくくなり、新しい空気を吸うことができないので、息切れを起こしやすくなります。
喫煙が肺気腫を起こす一番の原因と言われています。肺の破壊はゆっくり少しずつ起こりますが、大人の肺胞壁は一度壊れると再生することはないので、病気は徐々に長い年月をかけて進行してゆくことになります。
お肌だけではない・・・人生までも
★タバコはお肌の大敵です★
タバコを吸うと美容における多くのデメリットが発生します。肌はくすみ、シミやしわが増えていきます。また、スモーカーズフェイスという喫煙者特有の顔立ちやしわがれ声、口臭や歯・歯肉の着色等も引き起こしてしまいます。若さ、美しさを守るためには、まず禁煙からスタートすることが大切です。
★体に色々な変化が現れます★
女性が喫煙すると、肌への影響だけではなく、不妊になる危険性、閉経年齢が早くなる、骨粗しょう症になる可能性等多くのリスクが発生します。
★子どもへの影響・・・それでも吸い続けますか?★
妊娠中の喫煙の影響は、本人にとどまらず胎児にも影響を与えるという問題も抱えています。妊婦の喫煙によって流・早産、分娩時の異常、胎児の発育障害(低出生体重児等)、SIDS(乳幼児突然死症候群)等、喫煙者本人、胎児ともに様々な危険性が高まることが明らかになっています。